『「ない」けれど「欲しい」し「諦めていない」ものが才能である』
私の主催するカウンセラーのトレーニングスクール(お弟子さん制度と言います)がスタートしまして、カウンセラーたちがあれこれブログを書き始めています。 そのブログを読むのが密かな楽しみのひとつとなっていて、いいネタを書いてたら丸々パクってやろうと虎視眈々と狙っているのですが、過日、いい記事を見つけまして。 お弟子さんと言っても、すでにプロとして活動されている方も何人もいらっしゃっていて彼女もその一人なのですが、その中にこんな一文がありました。 *** わたしには、 本領発揮した上で男性に愛されてる…と感じた経験が、ありません。 (中略) あの。 わたし。 パートナーシップ、ボロボロなのです。 成功体験、ありません。 失敗談しかありません。 まともな話、ありません。 どうしたら愛されるか、わかりません。 でもまだ、諦めてないのです。 妥協もしないつもりです。」 *** 全文はこちら。 ↓ https://ameblo.jp/doublemoon-world/entry-12433238770.html この文章を読んで、思わず「いいねえ、いいねえ」と独り言を言っておりました。 「ない」からいいんですよ。 カウンセラーって面白い商売で、「結果」を売るんじゃないんですよね。 カウンセラーって「プロセス」を売るんです。 その「プロセス」の軸になるものって「共感」なんです。 「ああああああ、わかるぅぅぅぅぅぅぅぅ。あたしもそぉおおおおなのおおおおおおお!!!!」と叫ばせたら、確実にその人はお客さんになります。しかもコアな。 「話、聞いて欲しい!!!!!!!」って思います。 周りの人はみんな当たり前のようにふつうに恋をしているのに、私の恋は全然うまく行ってなくて、でも、絶対幸せになりたくて、でも、なかなかうまく行かなくて、どうしよう・・・・でも諦めたくないのぉ!!!って思ってる人が、彼女の文章を読んだら飛んで会いに行きたくなるんじゃないかと思います。 「この人ならきっと私の気持ちを分かってくれるに違いない」って。 彼女の文章の肝になるもう一つの部分は「諦めてない」という部分。 それが希望を灯してくれます。 つまり、 【「ない」けれど「欲しい」し、「諦めていない」】 これがカウンセラーとしてのあなたの最大の売りになります。 「ない」ところから「ある」までのプロセスが「売り」になるんです。 「ない」けど「欲しい」から、あれこれと考えます。勉強します。試します。失敗します。改良します。チャレンジします。失敗します。凹みます。諦めそうになります。でも、立ち上がります。またチャレンジします。少し前進します。 このすべてが「商品」なんです。 自分が諦めずにもがきながらやったことがクライアントさんに対して提供できる「商品」になるのです。 ちなみに、そのプロセスを公開することで「ファン」ができますね。ファンは有力なお客さんになってくれる候補者です。 特に今の時代はカウンセリングに限らず「ストーリーで売っていく時代」になりましたので、「ない」とこからの出発はまことにすばらしいのです。 * 例えば彼女が「ない」ことを恥じて、「ない」のに「ある」ふりをしてカウンセラーをやっていたら、そりゃあ、もう、しんどくてしんどくてカウンセラーなんてすぐにやめたくなるでしょう。 また、彼女が「ある」じゃなきゃカウンセラーとして意味がないと思っているならば、「ない」自分を否定して、それにコンプレックスを感じて、やはりカウンセラーなんて目指せなくなるでしょう。 「ない」からこそ、そこに共感ができるし、そこに共感を求める方々が訪れてくれるのです。 そして、彼女が「ある」状態になったならば、それまで書き綴って来たブログが全部、商品の説明書(しかも、ストーリー仕立ての小説のような)になるわけです。 * そもそも私は今でこそ「パートナーシップの専門家」みたいなことを言われてますし、「ライフワーク」を売りのひとつにしているわけですが、そもそものきっかけは「失恋」であり、それを機に訪れた「一体、俺は何をしたいんだろう?」という闇を抱えていたことです。 失恋して「女心が全然分かってない」上に「どうやって恋愛していいのか分からない」という状態になり、その辺を研究し始めました。 「ない」けど「欲しい」ので「諦めずに」「研究した」わけです。 その研究成果は本にもなりましたし、クライアントさんに提供できる情報にもなりました。 じゃあ、今、パートナーシップが万全の状態なのか?というと、、、、ああ、まあ、それ以上はツッコまないでください・・・(遠い目)。 ライフワークだってそうです。 自分がまだほんとうに自分らしいライフワークを生きられているか?と言われたら、胸を張って100%Yesなんてとても答えられません。 だから、未だに私も「ない」ままなのです。でも、「諦めてはいない」ので、研究を続け、そして、そのお陰でネタがたくさん増えていきます。 まあ、きっと、死ぬまで「ない」んだろうな、と思います。 パートナーシップにしても、ライフワークにしても、形のある商品とはまったく違うものです。 今、パートナーがいてラブラブだったとしても、それが未来永劫続く保証なんてないんです。 今はたまたま「ある」状態だけど、いつ、「ない」になるのか分かりません。 だから「ない」のがふつうで「ある」なんてありえないんじゃね?とか思うほどです。 だから、大事なのは「諦めてない」というところなんです、やっぱり。 それを心理学では「才能」と呼びます。英語では「gift」。神様からの贈り物なのです。 ないけど欲しいし、諦めてないものが才能です。 そこにはめちゃくちゃエネルギーをかけられますから、どんどん情報も経験も知識も集まってきます。 それを何年も続けていくと、唯一無二の存在になります。 「ない」ままなのに、その道の専門家になっちゃうんです。すごいでしょ?(笑) * クライアントさんの立場になってみてください。 悩んでいるときは孤独です。だから、ほんとうに気持ちが分かってもらえるだけで安心と希望を持つことができます。 諦めずに前を向いて進んでいこうとしてる人と出会えたら勇気までもらえます。 彼女は「どうしたら愛されるか、わかりません。」という状態だけど、同じ気持ちでいる人には、それだけで「安心」と「希望」と「勇気」を与えることができるんです。 今、もう、すでに。 * もう少し深い話をしたいと思います。 「「ない」人に話を聴いても結局どうしたら手に入るのか?は教えられないわけでしょ?じゃあ、意味がないよ。「ある」人にやり方を教えてもらった方がいいじゃない?」 と考える人もいらっしゃると思います。 そういう人が欲しいのはノウハウです。 こうすれば結果が出る、という正解です。 「こうしたら必ず愛される!」という方法を知りたいわけです。 そんな方法がもし開発されていたら、私はとっくに失業してます(笑) 恋愛マニュアル本なんて1冊あれば事足りますから、こんなにもたくさん本屋さんに並ぶことはないでしょう。 「こうしたら愛された私の経験」は売ることはできますが、それが、クライアントにフィットするかどうかは分からないのです。 つまり「※あくまで使用者の感想です。」という通販番組に流れるテロップが必要なんです。 自分を殺してノウハウに合わせるやり方は一時的にはうまく行きますが、長期的には苦しくなってしまうと私は思っています。 それは私が扱っているのが「パートナーシップ」や「ライフワーク」という、人生全体をかけた壮大な物語だからなおさらそうなります。 「美味しい卵かけご飯の作り方」というのとはジャンルが違うのです。 だから、私は「やり方」についても言及しますが、それ以上に「あり方」に重点を置いています。 「やり方」は100万通りもあるし、人それぞれに合うやり方が違うと思うので。 だとするならば、カウンセラーが「ある」必要なんてないと思っちゃうのです。 なので、彼女には今後とも「ない」けど「諦めずに」「ある」を目指していっていただきたいと思います。 きっと彼女のクライアントさんの方が先に「ある」になっちゃって地団駄踏むことになるかもしれませんが、そのときはまたご相談ください。 「おめでとう!」って言ってあげますので。