『愛を掘り起こすカウンセリング』

                               

『愛を掘り起こすカウンセリング』

皆さんはカウンセリング中は黙って聞いているタイプですか?
それとも比較的しゃべる方ですか?

話ができる方はストーリーテラーの才能をお持ちの方も多く、自分のトークでクライアントさんをリードすることができる方です。

私はその後のセッションに続けるためにも、また、長らくグループセラピーという舞台が主戦場でしたし、そもそも師匠がそうなので、しゃべること、は必須だと思っていました。
だから、カウンセリングなのにクライアント以上にしゃべることが多いです。

例えば、こんな感じで話をしていきます。
セミナーでよくこんな質問をするんですね。

「あなたを幸せを願ってくれている人は誰ですか?」

この実習を3分やるだけでセミナールームの雰囲気が変わります。
そして、それぞれが愛と繋がり始めて、人によっては涙が溢れてきます。

ところがこの質問を1対1のカウンセリングですると、うまく行くときも多いですが、ちょっと違う空気になることがあります。

「思い当たりません。」
「いません。」

って答える人もいます。

そんな風に言われたら皆さん、どうします???
「え?そんなこと言われても困るんだけど・・・」って思います?

3分真剣に考えて思いつかない、という人と、比較的すぐに思いつかないと言う人ではちょっと違うんですね。

前者の場合はほんとに思いつかないんだろうと思います。
だいぶ自分に厳しい人か、かなり厳密な思考タイプの人に多いです。
つまりは男性や自立系女子に多いです。

だから、「それだけ一生懸命考えるところに意味があるんです。思いついたときにぜひ探してみてください。必ずいます。それだけ真摯な態度で物事に向き合えるあなたのことを応援してる人って必ずいますから」なんて言えます。

後者の場合は、怒ってる人、拗ねてる人。考えたくない人。反抗してる人。

だから、そこを認めてあげるんです。

「あなたはきっと愛してきた人なんですね。誰のために頑張ってきたの?誰のために一生懸命やってきたの?」

という方向性で見るといいでしょう。
受け取れない場合は与える方向で、ということです。

もちろん、後者のタイプの人はニーズが強く、分かって欲しい、認めてほしいって欲求が強いことが多いです。
でも、そのニーズにひっかかるとケンカみたいになるので、そこは違う見方をするんです。

それが先ほどのセリフ。

「誰を愛して来たのでしょう?」って聞いても答えないかもしれません。
「誰も愛して何ていません」って言うことが多いでしょう。

でも、大丈夫なんですよ。それで。

もし、あなたがしゃべれる人ならば、そこでその人の価値をいっぱい伝えながら、その中にある愛とつなげてあげるといいでしょう。

「いっぱい愛したのに、その人のために頑張ったのに、分かってもらえない、いや、むしろ、否定されたりしたら辛いよね。愛を拒否されたわけだから。それで愛なんて信じないって人もいるくらいでね。」

そこでクライアントさんの反応を見ます。
もし、ヒットしてるんであれば必ずそのサインが出ます。
首をかしげていても、伏し目がちになって何かを思い出している表情ならばヒットしてます。

でも、こちらの目を見て「違います」的な意思を示す場合には、今はそこに触れないでほしいって合図でもあります。
だから、この話題はやめてしまってもいいでしょう。

「そうね、ちょっときつい質問でした?すいません。」と素直に謝るのが良いです。

“掘り起こし”って私は呼んでるんですけど、クライアントさんの心の中を掘り下げて行って様々な宝物(愛、才能、ギフト)などを見つけて行くんです。

で、この拒絶タイプの方は硬い土の人(笑)なかなか掘れません!
だから、あの手この手を使うわけです。

この時、私の話はその土の中に隠れているであろう「愛」にフォーカスし続けます。
だから、そこではクライアントさんの素晴らしさ、魅力、長所などを引っ張り出していくんですね。

「お母さんがそれだけヒステリックな方でしたら、何やっても否定されますよね?お母さんのためにって一生懸命やったことでも否定されたら、そら、やってられんわってなりますよね」
「それだけお母さんのことを助けた人って他にいると思う?」
「それくらいお母さんのことを愛した人っているのかな?」

そうして内なる愛に気付かせてあげると、だんだん表情が和らいでいきます。

こうしたやり方は自信がないとなかなかできないものですが、クライアントさんの表情を見ながらYes/Noをキャッチできるようになるにはそれなりの経験が要りますね。

私の場合は、始めにあれこれ話を聞いて(質問して)情報を引き出しています。
お母さんがどんな人だとか、そのためにどんだけ頑張ったのか。
また、そうした行動を見ながら、その人の長所、価値、才能を探しておきます。

そして、いざ掘り下げる時にその話を放り込むわけですね。

そのためにはある程度の心理学的知識や、人の心理を学んでおく必要があって、「お母さんがヒステリックで、その愚痴を聞き続けた場合、耐える、受け入れる、という愛し方をする人」って知らないと、そこ褒めてあげられません。

そうした知識や経験を総動員してカウンセリングをしていきます。

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