『自立と依存、罪悪感と無価値感(2)』
昨日からの続きですね~。
さて、「自立」の人に対してはある種の尊重を持って接します。
カウンセラーとクライアントって一般的にはカウンセラーが「自立」、クライアントが「依存」のポジションに入ります。
ところが、依存に入っているはずのクライアントさんが「自立」の問題を提示してくるんですね。
そうするとカウンセラーがクライアントさんに対して「あなたは悪くないですよ」みたいな言い方をすると、「え?そんなことないです。私、家族を裏切ってるんですよ!」的な反応をされたりするんです。
「自立」と「自立」はケンカしやすいんです。
で、どちらが正しいの?どちらが強いの?って「競争」が始まります。
時には「そうやって言うんですけど、カウンセラーさんはできてるんですか?」とか「カウンセラーさんはそういう体験したことあるんですか?」みたいな鋭いツッコミをもらうこともありますね。
だから、自立の問題に対しては相手を尊重した物言いが大切になってきます。
「○○さんはきっと分かってらっしゃると思いますけど・・・」
「もしかすると、こんな話をしても今さらって感じられるかもしれませんが・・・」
また、そんなに「自立」したいのなら、自立させてあげて、こちらが敢えて「依存」してあげることも効果的な場合が多いですよ。
「そしたら、○○さんはどうするのがいいと思いますか?」
「○○さんなら、こういうケースではどうしますか?」
「もし、○○さんの後輩がそういう相談してきたらどうしますか?」
私の場合、「自立」の人に対しては「質問されない限り自分の意見を言わない」というスタンスを取ることが多いです。
実際、よくわかってらっしゃることも多いし、私なんかよりずっと賢い方も多いからです。
だから、むしろ、依存的な立場を利用して(?)、いっぱい褒めたり、感情的に反応したりするんです。
「すごいですよねえ~」
「よく頑張ってますよね!」
「なかなかできないことだと思いますよ」
あくまでカウンセラーという立場を崩さないままに、そういう感想や思いを伝えると、クライアントさんは勝手に自己承認を始めたりします。
でも、この自立の問題に対するやり方ってのは、コンサルタントやコーチの方はごくごく自然にやられてると思いますし、カウンセラーでも傾聴型のスタンスの方はきっとふつうのことですよね?
「私は味方ですよ」という思いを相手が持ってくれることが一番大切ですね。
いわゆるラポール(信頼)を築く方法です。
さて、ところがここである落とし穴にはまることがあるんです。
それは「自立は依存を抑圧して成り立つもの」という心理。
カウンセラーがクライアントさんの自立を受け止め始めると、自立の影に隠れていた依存が出てくることがあるんです。
そして、気が付くとクライアントにがっつり依存されてた・・・なんてことになってるケースも多いんです。
むしろ、始めは自立の問題を自立的に話してくれていたから油断しちゃうんですね。
そうしたケースも想定しつつ、自立心を手放して、相互依存の状態にリードしてあげることが大事なのかなあ、と思っています。
ラポールが出来たときに、あるチャレンジをしてもらうんです。
それはデッドゾーンを越えるための一歩なんですが。
例えば「それだけ自分が悪いと思っているのならば、懺悔しましょうか。ご主人に謝るのはいかがですか?」という大きな課題を与えることもあります。
「今まで一人で頑張って来ましたよね。でも、その生き方、もう辛くないですか?ここはひとつ、誰かに助けを求めてみましょうよ」
「やれることは全部やったと思いませんか?だから、もう相手を自由にしてあげましょうよ。相手の選択を支持してあげましょうよ。」
それぞれの課題があるんですけど、ここは勝負の一手、ですね。
クライアントにチャレンジしてもらうわけですから、カウンセラーにとっても大きなチャレンジになることが多いんです。
私も、うーん・・・て深く考えた後に「ちょっと嫌なこと、変なことをお願いしてもいいですか?」って前置きするくらいです。
クライアントの力を信頼して、一歩踏み出すイメージです。
カウンセラーがそこで踏み込んだ分だけ、クライアントもその勇気を抱いて一歩踏み出せます。
自立的な問題はカウンセラーをまた磨いてくれるテーマになるのです。