『自立と依存、罪悪感と無価値感(1)』

                               

『自立と依存、罪悪感と無価値感(1)』

投影の話が続いたので、今日はちょっと別の心理の話を。
クライアントさんの話をいくつかの話に分割して聞くと、問題の本質や解決方法が見出しやすいってネタです。

クライアントさんのシェアは次の基準で考えてみると分かりやすいと思います。

(1)自立と依存
(2)罪悪感と無価値感

まずは(1)について。
シンプルな見分け方は「主語は誰か?」です。

「夫が最近別に女性ができたみたいで怪しいんです。ずっとスマホで誰かとやりとりしてるみたいですし、香水のにおいを付けて帰ってきたり、残業だって言って夜中にタクシーで帰ってきたり、飲み会の回数も増えましたし・・・」

これは明らかに「夫」が主語の言葉ですよね?
ということは、奥さんは「依存」なんですね。

一方、「実は私、家庭があるのにちょっと前から付き合い始めた人がいるんです。良くないことをしてるっていう自覚はあるんですが、夫に申し訳ないとか思ったことがなくて。でも、やはりよくない妻だし、母親だと思うので、何とかしなきゃと思うんですが・・・」

これは「私」が主語ですよね?だから、この奥さんは「自立」なんですね。

(2)については、それを感情レベルに落とした見方で、一般的に依存側は無価値感が、自立側は罪悪感が強くなります。

だから、先の奥様は「夫に浮気されていて女としての価値がないと思っている」という感情が強く出ていて、後の奥様は「自分が悪いことをしていて家族に申し訳ないと思っている」という罪悪感が強く出ています。

で、そうした部分が分かってくると方向性を見極めるのは比較的簡単で、

依存 → 自立しましょう。頑張りましょう。
自立 → 一人で頑張るのをやめて誰かをあてにしましょう。助けを求めましょう。

という風になりますし、

無価値感 → 自分本来の価値を受け取ってもっと自信を持ちましょう。
罪悪感 → 自分を受け入れ、許し、自分を愛することを学びましょう。

ということになります。
ほんま、ざっくりですけど、この方向性でカウンセリングをしていくと、問題が解決しやすいだけでなく、今より深刻な状況に陥るのをまずは防げませす。

でも、依存と自立って真逆でしょう?
だから、そこを見間違えると余計にややこしくなるんです。
しかも、それぞれは「嫌なこと、抵抗のあること」が目標となるのでややこしいんです。

つまり、依存の人は誰かに頼りたいんです。誰かに何とかしてほしいんです。だから、カウンセリングにも来たので、カウンセラーに何とかしてほしいんです。
でも、そこでカウンセラーは「自分で頑張りなさい。自分の足で立ちなさい。」という話をするわけで、そこはクライアントさんからするとネガティブなんです。

一方、自立の人は自分で全部を背負い込んでいるわけです。だから、助けを求めるなんてとてもできないし、しちゃいけないと思っているんです。
そこを助けを求めなさい、頼りなさいって言われると、うーん・・・となってしまうんですね。

それで、カウンセラーとクライアントの間にある種の問題が生まれてくるんです。

依存的な人は頼りたいし「先生、何とかしてください」って言われたり、「どうしたらいいのか本当に分からないんです」と弱っています。
そうすると何とか手を貸したくなるんですね。
自分で頑張りなさい、とは到底言えません。
でも、そうすることでクライアントの依存心をどんどん引き出してしまって、カウンセリングの中で常に「夫が主語」の状態を継続してしまうんですね。
もちろん、夫が悪役になっていきます。

カウンセリングで愚痴を吐き、弱音を吐き出して、それですっきりして日常に戻れるタイプの人は自立の人。
依存の人はどんどんカウンセラーに依存したくなってくるんですね。

だから、カウンセリングとカウンセリングの間を詰めたくなります。
もっと一緒にいてほしい、とか、何とかしてほしい、とか、メールや電話をかけてくるようになります。

もし、あなたがカウンセラーとしてそれを背負えるだけの覚悟と器量があるならばいいんですけど、そうでないとあなたがやがて「夫」のポジションに入ることになります。

というのも、カウンセラーはクライアントに対して「自立」の位置に入るからです。

だから、「依存」のクライアントに対してはその人の状況を見極めつつ、徐々に自立していく方向に導いてあげるのがいいんじゃないかと思っています。

もちろん、ショックでハートブレイクしてボロボロになってる人に「自立しなさい」ってのは酷ですよね?
そこでは優しく受け入れてあげて「一人じゃないですよ」って言ってあげることも大事ですし、その痛みに寄り添ってあげることも必要なことだと思います。
でも、それはある程度「一線を引いて」のこと。

そのために「その人の中にある自立心」を尊重してあげることをお勧めしています。
今は依存的になってしまったんだけど、本来その人は自立してる部分があったはず、と。

だから、私は依存状態にあるクライアントさんに対してはある程度感情を吐き出していただいた後に、「主語は私にしましょう。自分の人生ですから」という話をしたり、自立心を思い出せるように「本来のあなたはどんな姿でしたか?」とか「この問題が起こるまでは夫婦関係はどうでしたか?」なんて質問を良くしていきます。

また、徐々に自立できるように、というのは「宿題」に託すこともよくあります。
例えば、先ほどのような夫婦関係の問題がテーマの時には
・あなたがご主人に対してしてあげたことってどんなこと?
・あなたはどんな風に夫を愛したかったんでしょう?
という風にしてみたり、その依存を旦那から切り離すために、
・どんな女性になりたいですか?
・女性としての自信を取り戻すために自分に意識を向けましょう。
なんて方向性を見ていきます。

オシャレをしましょう、とか、思い切りセクシーな下着をつけようぜ!って話をするのは、自分に意識を向けて自立していくためなんです。

じゃ、自立の人はどうしたらいいのか?という話を明日か、また、気が向いたときにしたいと思います!(笑)

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