『人のふり見て、我がふり直せ』

                               

『人のふり見て、我がふり直せ』

私がプロカウンセラーになったのはちょうど15年前の今頃でした。
通っていた神戸メンタルサービスのスタッフから「ねむねむ(私のニックネーム)、そろそろプロにならない?」って軽い口調で言われたんです。

そう、かのジャニーさんの「You,やっちゃいなよ」的なノリそのものでした。

現在ではカウンセラーの育成システムもきちんと規定されてるのでそんなことはないのですが、当時は何事も初めてのことだったので「プロになっちゃいなよ」って話になっても、実際、どういう手続きをすればいいのか、どういう風にすればいいのかが全く分かりません。
何よりも事務所側がどうしていいのか分からないのですから、当の私が分かるわけがありません。

何事も都合よく考える私は「きっと事務所の方でお客さんを回してくれるに違いない」と思い込んでいたのですが、そうは問屋がおろしません。

「とりあえず、ねむねむのスケジュールを出してくれるかな?そこにまずは無料のカウンセリングを希望があれば回すことにするわ」

そんなぞんざいな感じで伝えられたことを今も何となく覚えています。

その当時、会社には社長以下数名のカウンセラーが所属していたかと思います。
まだ何の宣伝手段のない私。
要するに「他の人たちが手が回らない、余り物を処理する係」、通称「残飯処理班」のような立場からスタートしたのです。

とはいえ、結構な量の食事をオーダーする連中の処理班を勤めていたため、意外とカウンセリングの本数は稼ぐことができました。
しかし、初回は無料で、気に入ったら4回で1万円のセットコースに申し込める仕組みだったのですが、まあ、それが難しい。

社長の平がいっぱいで、右腕の泰三もいっぱいで、それで仕方なく根本さん、という方も少なくないようで、なかなかお客さんが取れないんですね。
でも、不思議だったのはそのことを全く気にしていなかったこと。

その当時はまだまだひよっこですから、カウンセリングができるだけで嬉しかったし、有難いし、無料でも、有料でもいいからどんどん来てください!!!って気持ちでした。

しかも、彼らの残飯処理班ということは・・・ものすごく学びになることがあったんです。
大抵は、一度は彼らのカウンセリングを受けている方々。
だから、「で、平にはなんて言われたんですか?」「泰三はどんな見解だったの?」などと“カウンセリングをする振り”をして、勉強させてもらってたんです。

へえ、そういう風に見るんだ・・・
そっか。そういう考え方もあるんだ・・・。

私からすれば彼ら師匠は天才でしたから、まあ、ものの見事な発想の転換があちこちにあったんです。

「別居したんです」「おぉ、良かったやないか。これで彼に自分がどんだけ変わったか見せられるなあ」

「リストラされたんです。」「神様はな、お前がもっと自分が好きなことできるようにわざわざ会社に働きかけてお前を首にしてくれたんやで」

普通だったら。「辛いね」「悲しいね」「不安になるよね」と共感するところ、彼らは至って平然と、そして、ポジティブにその事実を捉えているんです。
その勇気に感激しましたし、大いに学ぶところになりました。

実は今でもその癖があるんです。
他でカウンセリング受けたことがあるんです・・・なんて聞いたら、根ほり葉ほり聞いちゃいます。
それで、他の方がどんな風にカウンセリングをしてるのか「盗む」んですね。

私のところに電話をかけて下さる方の中にはアメリカやヨーロッパでカウンセリングを受けてる方もいらっしゃいますから、「で、実際ニューヨークのカウンセラーはなんて言ってたの?」とか「ロンドンのカウンセラーはどんな風にアドバイスするの?」なんて勉強させてもらってるんです(笑)

人のふり見て我がふり直せ、じゃないですが、案外、そこから学ぶものってすごく大きいですね。

ニューヨークのカウンセラーさんの中には私と同じように「カウンセラーをしつつ、週末にはセミナーをする」という方が何人もいらっしゃるようで、なんだか嬉しくなりました。

「もしかして、俺って、世界標準???」みたいな(笑)

そうして、プロカウンセラーとして歩み始めた私ですが、ひょんなことから「辞めたくなる」できごとに遭遇するのです。
それは次回お話ししましょう。

ある意味、私にとっての師匠との出会いです。

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