『カウンセラーが陥りやすい罠~転移と逆転移を逆手に取る~』
お母さんと問題のあるクライアントがカウンセラーにお母さんを転移し、お母さんを転移されたそのカウンセラーがクライアントに対してまるでお母さんのように接してしまう逆転移という現象。
すなわち、それだけお互いの距離が近いということ。
親密感が二人の間にある、ということ。
ということは、もしあなたが逆転移に気付いたとしたら、あなたのちょっとしたチャレンジで彼女の人生にブレイクスルーを起こしてあげることができます。
つまり、彼女はすっかりあなたにお母さんを投影し、転移させてるわけですから、あなたがする態度は彼女にとってはお母さんがしていることも同然なわけです。
「彼女がお母さんからしてほしかったけれど、してもらえなかったことをあなたを通じて与えてあげる」
・ほめてほしい
・認めてほしい
・話を聞いてほしい
・分かって欲しい
・応援してほしい
・味方で居てほしい
そんな「欲しい」を子どもたちはたくさん持っています。
そして、その彼女がその思いを成し遂げられていないのであれば、カウンセラーが注意深く、この彼女が欲しいものを与えてあげてはいかがでしょうか?
「○○ちゃん、ほんとうにすごいよね!私、尊敬するわ」
「○○ちゃん、ほんとうに頑張ってるよね!大丈夫、きっとうまく行くわ!」
そんなあなたの言葉は○○ちゃんからすれば「お母さんの言葉」として潜在意識に入っていくのです。
すごくない?この直接的セラピー。
もちろん、ここであなたには注意力と忍耐が必要になります。
なぜかというと、転移・逆転移が起こってるわけですから、放っておくとあなたはお母さんが彼女にしてきたことと同じ行動を採ってしまうんです。
だから、「ダメじゃないの!」って言いたいところを「すごいね~」って言い換えたり、「もっと頑張らなきゃダメでしょ!」って言いたくなったところを「一生懸命がんばってるよね」と言い換えたりする作業が続くんです。
疲れますよー。
嫌になりますよー。
でも、その一言一言が彼女の人生を変えるんです。
彼女に存在意義を与え、自己肯定感を高めることができるのです。
すごくないですか?これ。
なかなかできることじゃありません。
この試みを続けることによって、あなたは彼女と彼女のお母さんの問題解決に大きな影響を与えることになります。
きっと遠くない未来に「仕事がしやすくなった」とか「最近出会う人が優しい」とか「ちょっと気になる人ができていい感じ」などの嬉しい報告を耳にすることと思います。