『背伸びを辞めてありのままの姿でカウンセリングをする方法』
カウンセラーとクライアントの関係ってほんとなんの契約もないただただ人対人の信頼関係でのみ成り立っているものだと思うんです。
だから、カウンセラーは常に信頼関係を築くために努力をしてると思います。
ところが、自信がないときってついついやってしまうことがあります。
『背伸び』
無理ないんですけどね・・・。
「知ったかぶりをしてしまう」
「強がってしまう」
「自信がないのに大丈夫なふりをしてしまう」
「クライアントのネガティブな感情を真に受けてしんどくなってるのに、元気なふりをする」
「引きつっていても笑顔でいる」
「いつも前向きなふりをする」
「明るく、元気なふりをする」
自信がない分だけ背伸びをしてしまうものです。
私も散々やってきました。
「知らない」とか「分かりません」って言うの、すごく勇気が要りますよね?
私、カウンセラーとして自信がついて初めて「あ、それ知らないです。何ですか?」って聞けるようになりました(笑)
最近は新しい単語が出てくると
「え?○○って言うんですか?何ですか、それ?あ、ちょっとグーグル先生に聞いてみてもいいですか?」
って隣に置いてるパソコンで検索を始めたりします。
そういうことができるようになりました。
知らなくても大丈夫。
分かんなくても大丈夫。
そう思えるようになりました。
だから、私はあまり偉そうなことは言えません。
でも、背伸びをすることで、確かに成長できたところもあると思うんです。
「知らない」と言えないから必死に話を合わせて「知ってる演技」を頑張ったこともあるでしょう。(それがバレバレだったとしても)
カウンセラーって常に笑顔でいなきゃ、と思うから、辛い時も、しんどい時も頑張って笑顔を作っていたかもしれません。
でも、それが自分を高めてくれることになったこともまた事実ではないかと思うんです。
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ただ、顧客満足という点から見ると、それは苦しいんですよね。
クライアントさんって悩んでカウンセリングに来られますから、そのセンサーは周りの人よりもずっと敏感なはずなんですね。
だから、こちらが嘘ついていてもすぶにバレるし、強がっていてもそれが伝わっちゃうし、明るく振る舞っていても心の内は読まれてると思うんです。
それで、クライアントさんは「いいカウンセラーさんなのに、会うとなんかしんどいなあ」という思いを抱いちゃうんです。
僕はマッサージ好きなんですけど、そんな体験を何度もしています。
技術はほんとうにいい!すごくうまい!でも、何だろう・・・次はない感じ!という。
想像に過ぎませんけれど、そのマッサージさん、たぶん、頑張りすぎてたのかもしれません。
もっと自分の腕を信頼してリラックスしていればよかったんじゃないかなあ、と偉そうなことを思っていました。
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「ご縁」という言葉の意味を体感してから僕はそんなに背伸びをしなくなったと思っています。
「ご縁」とは人と人とが出会うのは決まっていた、運命だった、という意味になりますけれど、僕の解釈は『なるようにしかならないので、なるようになる』ということなんです。
以前、我ながら素晴らしいカウンセリングをしたと思ったことがありました。クライアントさんもほんとうに喜んでくれて、「必ずまた来ます!」と笑顔で帰って行かれました。でも、その後、その方の姿を見ることはありませんでした。
また、同じ頃、すごくぎくしゃくしたカウンセリングもありました。クライアントさんも心なしかイライラしてる様子。きっともう次はないだろうな・・・と思っていました。不甲斐なさにほんと自分を責めていました。でも、その方とはその後何年もカウンセリングでご縁を結びました。
分からねーなーって思います。
「今度こそ!と思ってカウンセリングの日程を見ると、いつも私のスケジュールと合わないんです。しかも、たまに行ける!と思って申し込むともう満席で!!ほんとタイミングが合わないんです!でも、ぜひ根本さんのカウンセリングを受けたいと思うので、そのときはよろしくお願いしますね」
って熱く語ってくれるのですが、やはりご縁はないままです。
そうかと思えばこんな方もいました。
「根本さんを知ったのはほんと数日前なんです。それで、ふと、あ、今日が受付日なんだってたまたま知って申し込んだら通ったんです。根本さんが予約の取れない人だって知ったのはそのあとでびっくりしました!」
そう、結局は僕がどう意識しようがどうしようもないんだよね・・・ということ(笑)
僕の意識とは全然別のところで物事は動いているんだなあ・・・と気付いたんです。
その頃、僕はちょっと偉そうな言葉を使うようになりました。
「マーケットを信頼するんです。マーケットはとても賢い。バカじゃありませんよ」って。
どうなるかなんて自分の意識ごときで決められるもんじゃないって今は思っています。
僕のポリシーの一つにこんな言葉があります。
「クライアントさんは私に会うことが一番の目的」
ものすごく偉そうな言葉なんですけど、でも、真実かなあ、と。
クライアントさんは勝手にいろいろと持って帰ってくれるんです。
僕がものすごく熱く語ろうが、眠たそうに相槌を打とうが、勝手にいろいろと感じ、いろいろと持ち帰ってくれるんです。
しかもそれはカウンセラーのキャリアにあまり関係はないんです。
目の前にいらっしゃった・・・という事実だけがそこにあるからです。
それは新人だろうが、ベテランだろうが、同じです。
だから、僕はあるがままにいるしかないなあ、と。
それに気づいてからの私はすごく軽くなりました。
思ったことを思ったように言うようになったんです。
「ああ、それってダメだと思うよ~」とか「僕はそれ、賛成しないけどね」という否定的なことを伝えることも怖くなくなりました。
とはいえ、ダメ出しだけして終わる、ということはなく、だんだん見えてくるクライアントさんの価値や素晴らしさを必ず伝えるようにしてますけどね。
でも、それもまた「そう思ったから」ですけどね。
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カウンセラーを目指す人はいい人が多いからどうしてもいい子になり、いいカウンセラーになり、背伸びして頑張ってしまうものだけど、そうしたいときはそうしておいて、あとは「なるようになるよね」って思うようにしてみるともっと自然体でカウンセリングができるんじゃないかな、と思います。
結局はご縁。
自分ができることを一生懸命やって、あとはこの方の選択に委ねましょう・・・。
だって、なるようにしかならないのだから。
失敗した!!と絶望したとしても、クライアントさんはそう思ってるとは限らないんだもん。