『人には「受け取るタイミング」がある』
これはカウンセラーだけでなく、人間関係全般に言えることだと思うんですが、その人にはその人が受け入れ、理解するタイミングがあるってことです。
皆さんも昔読んだ本を読み返したときに「あれ?こんなこと書いてあったっけ?めっちゃいいこと言うてるやん!気付かなかった!」という体験をされたことがあると思います。
前に読んだ時にはそんなに響かなかった言葉が、今になると分かる、という。
それはカウンセリングでも、部下との面接でも、子育てでも、夫婦や友達同士の会話でもよく起こることです。
「もっとご主人に感謝の気持ちを表現するといいですよ」という提案をすることがあります。
しかし、クライアントさんは腑に落ちていないよう。
「欲しい欲しいモード」だったり、「疲労困憊モード」だったり、「我慢&犠牲モード」だったりするときは、感謝するなどの「与える」行為はちょっとピンと来ません。
頭では理解するけれど、心が伴わない感じ。
でも、そのあと自分を見つめ直したり、疲れを癒したり、我慢せずにやりたいことをやったりしていった数か月後に、ふとそのカウンセラーの言葉を思い出します。
そして「あっ!」と思って、ご主人に感謝の気持ちを伝え始めるのです。
すると効果がてきめんに現れたりします。
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もし、そのタイミングで「著名なカウンセラーさんの提案だから」と気持ちの伴わない感謝を伝えたとして、それほどまでの効果が表れたかは疑問です。
私のセッションがテクニックに走らない理由がそれであり、また、やり方も「感謝する」だけでなく色々と提案する理由もそれです。
腑に落ちたときに人はほんとうにその言葉を理解するし、行動し始めます。
また、準備が整っていたとしても「誰に言われるか?」によっても当然反応は変わります。
よくあるのは「パートナーに言われるとつい反発してしまうけれど、第三者に言われると腑に落ちる」というケース。
意識はしていなくてもパートナーとはよく競争してしまうものだから、その人が言うことは耳に入らないんですが、他人から言われると「なるほど!」と納得してしまうのです。
それを「ほら、私が言ってたでしょ!」と相手を責めたくなるのもまた競争心。
そのことに気付くことの方が大事だから、自分の言葉であれ、第三者の言葉であれ、それを受け取れたことを喜べるようになりたいものですね。
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そういう長期的な目でセッションをしています。
「今から言うことはきっとピンと来ないことも含まれてると思うので、ぜひメモしてください」とか「録音してもいいですよ」とお伝えするのは、それを知っているからです。
今と向き合うのはすっごく大事ですけれど、未来のクライアントさんに語り掛けるのも時には重要だと思っているのです。
でも、そういう気持ちでやっていると、目の前に強情で素直じゃないクライアントさんが現れても気持ちが乱れることはないんですよね。
「まあ、今は受け取れないよね~」
「面と向かって言われてもすぐには納得できないよね~」
なんて理解できるからです。
自立系なクライアントさんはカウンセラーに対しても競争心を持ってしまいます。
もちろん、そんなつもりではないはずだけど。
だから、目の前では抵抗したり、拒否したり、反発したりするんですけれど、セッションが終わった後にそのことを思い出して「なるほどなあ」と納得したりするんです。
セッションの時間は60分だけれど、実際は、その60分をきっかけにずーっとずーっとセッションは続いていきます。
セッションを受けたあとにブログを読んだり、動画を見たりすると、今までと見方が全然違っているものだし、今までならスルーしていた言葉がさっと心に染み込んで来たりしますから。
「根本さんがおっしゃってた言葉、その時はよく分からなかったけど、3か月くらい経ってなんか腑に落ちてきました」ってよく言われますから。
たぶん、その時の根本さんは3か月先のクライアントさんに語り掛けていたんだろうと思います。
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カウンセラーとして、自分の意見や提案を拒否されるのは辛いことかもしれないけれど、それを受け取らせようとコントロールするとケンカになりますね。
それを回避して未来のクライアントさんに提案するにはそれなりの経験が必要かもしれないけれど、ほんとうに大切なのはクライアントさんが楽になることだし、希望を見ることだし、問題が解決することだから、と理解できると、拒否されても「そうですよね~♪」と受け入れられます。
「根本さんがセッションで言ってくれた時は意味分からなかったですが、その後、○○さんのセミナーに行ったら、同じことをおっしゃってて、なるほど!こういうことか!と腑に落ちました」なんて話もよく耳にします。
それでよかったんです、ほんとうに。
人それぞれ、受け取るタイミングがあり、それは本人の潜在意識が決めることなので、私にできることは、良かれと思ったことをただ提案し続けることだけなんですよね。
これとこれとこれとこれとこれがあります。
お好きなものをどうぞ、というわけです。