『カウンセラーが陥りやすい罠~転移と逆転移~』

以前も書いたような気がするけれど・・・まあ、いいや、大事なことだから・・・と今日のお話です。

転移と逆転移。聞いたことありますか?
カウンセリングを学ぶと必ず出てくる単語かと思います。

カウンセラーもクライアントも人間なので、分かっていてもハマってしまうことがよくあるんです。

過干渉であれこれと指示をしてくるお母さんとの関係に問題を抱えるクライアント。
職場での人間関係もうまく行かず、また、恋愛もなかなか進展しない状況。
自己肯定感も低く、自分に自信が持てない。
そんな思いでカウンセリングに通っていました。

年上の女性のカウンセラーさん。最初は優しく自分の話を受け入れてくれていました。
でも、時々見せる厳しい口調や感情的な雰囲気に徐々に怖れを抱くクライアント。
そして、気が付けば、お母さんをカウンセラーに投影するようになっていました。
すなわち、お母さんの前で自分の意見が言えないように、カウンセラーに対しても思ったことが言葉にならず、我慢することが増えて来たのでした。

・・・このケースのように「お母さんをカウンセラーに投影し、まるで、お母さんに接するときと同じような態度をカウンセラーに対して取ること」を「転移」といいます。

一方、カウンセラーは始めは色々と心を開いて話してくれたクライアントさんですが、だんだん回数を重ねるにつけ、イライラすることが増えてきました。
はっきりものを言わなかったり、質問をしてもきちんと回答できなかったり、また、自信のなさからか自分の意見を言わなくなったり。
始めは我慢していたのですが、やがてカウンセラーはクライアントに「こうした方がいいんじゃないの?」「あなたはこうした方が嬉しいんじゃないの?」「この方があなたには似合ってると思うよ」と意見を言うようになりました。
さらには「うーん、それは違うでしょ?」とか「あなたはいつもそうなんだから。そこが直ればよくなるのに」「あなたのそういうところが人を遠ざけるの」といったダメ出しをするようになってしまいました。
そのカウンセラーさん、他のクライアントさんにはそんなきつい態度を取っていないのですが、彼女がカウンセリングに来たときは人が変わってしまったかのように対応が違うのです。

・・・そんな風に「お母さんを転移されたカウンセラーが、今度はまるでそのお母さんのような振る舞いをするようになってしまうこと」を「逆転移」と言います。

人間関係の面白いところ、不思議なところというか。

もちろんこの関係はカウンセラーとクライアントの間だけで起こるわけではありません。
上司と部下、恋人同士などでもふつうに起こり得るところ。

ところが、カウンセラーはクライアントを助けたくてやっているにも関わらず、クライアントに更なる傷を負わせてる、ということが問題になるのです。

「なんかこの人に対しては自分のモードが変わっちゃうな。いつもと違うな」というクライアントさんがいらっしゃったら、この言葉を思い出してください。

気付いて態度を変えることで、転移と逆転移の罠から抜け出すことができます。

次回はこの転移と逆転移を逆手にとったカウンセリングのアプローチをご紹介したいと思います。

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