『クライアントさんとの境界線。』

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カウンセリングの現場で自分と同じ境遇、悩み、問題を持っている場合にクライアントとの境界線が引きにくいです。
解決策や提案、考え方など、自分で言っていることが説得力がないような、自分に言い聞かせているようにも聞こえてしまうことがあります。
(Yさん)
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この疑問もけっこう“あるある”じゃないでしょうか?
自分と同じ境遇の人には感情移入しやすい・・・というのは映画やドラマを見ていても同じだろうと思います。
それにカウンセラーやヒーラーを目指す方の中にはエンパス級の感受性をお持ちの方もいらっしゃるでしょうから、ついつい相手の感情を吸い取ってしまい、自分のことなのか相手のことなのか分からなくなることがあるんじゃないかと思います。

でも、それって「親身になってるから」とも言えますよね。
一生懸命やってるから、そういう風になってしまうとしたら、あながち悪いことじゃないようにも思えませんか?

それに・・・投影の法則から見れば、クライアントさんは全員自分自身です。鏡です。
だから、鏡に向かって提案するんですから、そりゃあ、自分に言い聞かせてるように聞こえても当然ではないでしょうか?

だから、カウンセラーってなかなか痛いんですよね。

私:「うーん。今はちょっと自分の気持ちを抑え過ぎじゃないでしょうか?」

心の声:(え?誰のこと?それ、あんたのことやないの?)

私:「(グサッ!)だから、思い切って伝えてみる、というのもアリじゃないかな?」

心の声:(へえ、あんた、それ言えるの?思い切って伝えられるの?)

私:「(グサッ!グサッ!)ま、まあ、難しいとは思いますけどね。すごく勇気要りますよね?」

心の声:(せやろ?そら、あんたができひんこと、クライアントさんに押し付けたらあかんわ)

私:「(グサッ!イタタタタタ!)ぼ、僕もチャレンジしたいと思います。」

心の声:(せやせや。あんたがまずせんとな)

そんな感じでけっこう冷汗かきますよね(笑)

クライアントさんとの境界線ってすごく難しいテーマだと思います。
カウンセラーの教科書では、きちんと線を引きましょう!!って書いてあったりしますけど、それを鵜呑みにして線を引くと「あのカウンセラーさん、冷たい」とか言われます。
「他人事だよね?」て。

でも、線があいまいだとつっこみすぎてしまします。

Yさんってそもそも人間関係はどちらタイプですか?
ドライなタイプで人と距離を置けるタイプですか?
それとも・・・どちらかというと癒着タイプですか?

どちらかというと身近な人に対して干渉し過ぎるタイプの人はカウンセリングでは意識的に線を引いた方がクライアントさんと癒着せずに済みます。

その反対のドライなタイプの人はもう半歩くらいクライアントさんに近付くイメージを持った方がうまく行くと思います。

じゃあ、その情熱的なカウンセラーさんがどうしたら線を引けるのか?というと・・・「主語」をはっきり言うことなんですね。

「私はこう思う」
「私ならこうします」
「あなたはこうしたらいいと思う」
「私は○○だ」

境界線がなくなるタイプの方ってカウンセリングが進んでいくと主語があいまいになっていくんですね。
だから、意識的に「私は」ということで線が引きやすくなります。

それに

>自分に言い聞かせているようにも聞こえてしまうことがあります。

という自覚があるんなら、それでいいと思うんですね。
だってそもそも自分に言ってるんですから。

さて、説得力という言葉が出てきましたけれど、説得力って何だと思います?
Yさんがそうだ、というわけではなく、提案型カウンセリングの危険性は「論理的に説明して納得させようとする=説得」ところだと思うんです。
感情無視して提案してもクライアントさんは動きませんからね。
理屈は分かっても心は納得してないってことも良く出てきますよね。

説得力って「自分がどんだけそれをやったか?」なんだろうと思うんです。

以前ブログで書いたことがあるんですけど、私が以前参加したあるセミナーで「問題の解決方法を1000個書いて来い」って宿題が出たんです。実質2週間で。
私は「本が売れる方法」にテーマを決めてあれやこれやと考えました。
実は私、その宿題、何が何でも1000個出さなきゃいけない!って自分自身にプレッシャーをかけたんです。
なぜかというと、自分が宿題を出す側だから。

もし、私が宿題をしていなかったら、クライアントさんに宿題出して、やってね!なんて言えないですよね?
だから、意地でしたね~!(笑)

でも、その時、思ったんです。
1000個解決方法を出すには本当にチャレンジが必要でした。
時間を作るところからアイデアを生み出すところ、人に聞くところも。
そして、1000個達成した時に、なんでそれができたか?というとクライアントさんたちのお陰だな、ということに気付いたのです。
私には無理難題な宿題を出されたクライアントさんたちがいて、彼女たちがいるから、私はあの1000個の宿題に取り組めたわけです。

そのチャレンジで様々な可能性が広がりました。
とはいえ、本はまだ売れていませんけど(笑)

以前、後輩たちにはこんな話をよくしていました。

「もし、あなたが中学のときに受けたいじめの傷がまだ癒えていないとしたら、いじめの後遺症で悩むクライアントさんが来たときどうしていいのか分からなくなるよ。
だから、まずは自分を癒すこと、自分の問題と向き合うことをしてないと、カウンセラーは続けられなくなるんだよ。」

いじめの問題を完全に癒す必要はありません。
それを癒すために向き合い続けていること、その姿勢がクライアントさんに勇気を与えるんです。

それが説得力という見えない力を生み出すと思っています。

だから、Yさんのように境界線が見えなくなった時にはこういう風に教えてもらってると思うといいでしょう。

「ああ、私はまだこの問題をクリアにできていないんだな。だからのめり込みすぎて境界線が分からなくなるんだな。じゃあ、また新たなレベルでその問題と向き合ってみることにしよう。それを教えてくれたのがこのクライアントさんなんだな。ありがたい」

そして、そのカウンセリングが終わったら、ぜひ、自分自身の問題を癒すため、解決するためのアプローチをとってみましょう。
その姿勢がクライアントさんに与えられるカウンセラーの姿勢だと思います。

子育ても同じだと思うんですけど、クライアントさんはカウンセラーの言葉で動くんじゃないと思うんですね。
だって、カウンセラーなんてたいてい同じこと言うでしょ?(笑)
何が違うか?ってカウンセラーがその問題とどれくだい本気で向き合ってきたか?だと思うんです。

その姿を見て感銘を受けて、感動をして、動いてくれると思うんです。

ちなみにYさんから頂いたご質問は「私の分身」からのメッセージです。
だから、私は今、自分で自分に手紙を書いているんです。

ああ、痛い・・・。

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